言いたいことは3つまで

よく、知らないアーティストの歌を聞くとどれも同じような曲に聞こえることがある。好きになって心をこめて聞けばそれぞれの曲のよさがわかるというが、多感な思春期ならまだしも感性が鈍くなった上にすぐ時間がないと言い出す中年には無理な話である。

スピーチのコツで、要点は3つにまとめろというのがある。聞き手はそれ以上覚えることができないので3つがちょうどいい。本当は1つでも2つでもいいのだが2つ以下だと今度は「本当によく考えたのか、他にもあるだろう」と言い出す。

では話し手に伝えたいことはいくつあるのかといえば、多くて3つである。3つあればいいほうで、本当は2つか1つしかない。1つもないときもある。4つあるときの4つ目は余計か嘘っぱちである。

曲が同じように聞こえるのは表現に工夫が足りないか、言いたいことが多すぎるかどっちかだ。言いたいことがまとまらないアーティストの曲は自然と似たようなものになる。言いたいことは同じでいい。それをどう表現するかに悩むべきである。スピーチも同じで、表現の仕方を工夫しなければ伝わらない。研ぎ澄まされた言葉が表現されてはじめて人の心に響く。

言いたいことが4つも5つもあったらいつまでたっても伝わらない。多くて3つである。