ドMはプレゼン向き

プレゼンやスピーチをするときは、「言ってやる!思ってること全部!」と思ってしゃべった方がいい。

「こんなこと言ったら怒られるだらうか」「誰も共感してくれないんじゃないか」という気持ちが強ければ強いほど、言いたい気持ちが強くなる。プレゼン論的には間違っていると思うが、その瞬間こそ発表者側が最高に輝く瞬間だ。

そもそもプレゼンとかスピーチには失敗がつきものだ。思いきったことを言った結果、「どうすんだこの雰囲気…」みたいになることもある。でも5回に1回くらいはすごく盛り上がる。

世の中の素晴らしいプレゼンテーターのうち、何割かはドMのはずだ(願望も含む)。万人がするようなしゃべり方、身振り手振り、演出をしたって人を惹き付けることはできない。なら変わったことをしないといけなくなる。誰もやったことがないような奇抜な方法を試みる。そんなやつドMに決まっている。

スティーブ・ジョブズがポケットからiPhoneを取り出す演出を思いついたとき、バラク・オバマが「Yes,We Can」というフレーズを使おうと思ったとき、自信満々で当日を迎えただろうか。きっとバレンタインデー前日の女子みたいに不安でいっぱいだったはずだ。

発表者の緊張と、聴衆の興奮とは表裏一体だ。緊張感のない言葉に人は感動しない。葛藤の末に繰り出された言葉によってはじめて人の心は動かされる。