ジャーナリズムという病

ジャーナリズムの語源はジャーナル(日刊、刊行物)とイズム(主義、主張)である。誤解されがちだが「巨悪に立ち向かう新聞記者」といういわゆるジャーナリストのイメージは一側面に過ぎない。現在を細かく取材し、過去と関連付けて解説するのがジャーナリズムである。

大学で現代ジャーナリズム論という授業を受けて知った。いわくジャーナリズムはTの字で、横棒と縦棒が交わる部分である。横棒が現在を表し、縦棒が過去を表す。現在と過去がつながった点を世の中に知らしめるのが本来の姿だと先生は言った。なので歴史を知らない記者に記事は書けない。

ジャーナリズムの名のもとにとか、ジャーナリズムに突き動かされたという言葉を私は信用しない。本当なら日本語で言ってみてほしい。おそらく正義感とか批評精神という答えが返ってくるがそれは間違いである。

悪を正すとか権力を監視するとかの類はジャーナリズムの本質ではない。山本夏彦は、新聞は自らが決して実行しない正義を説いて好評を博したと言った。夏彦の時代は少数派だったが新聞への風当たりは最近強くなった。けれどもジャーナリズムという病は不治である。