ブログを書く意味

天下に新しきものなしと古人は言った。旧約聖書の言葉(There is no new thing under the sun.)だそうだ。誰かが言ったことは既に古人が言い表していて、その焼き直しに過ぎない。「愚者は経験から学ぶ、賢者は歴史から学ぶ」という言葉もこれに通じる。このブログを含めて、多くのブログで書かれている記事にそれほど目新しいことはない。それでもブログを書くには理由がある。

理由は単純で、人は忘れる生き物だからである。忘れっぽいのである。世の中は名言であふれていて、その言葉を真摯に受け止めて生きれば、私達は迷うことなく人生を豊かに生きることができる。しかし残念なことにそれを適切な時に思い出すことができない。

賢者は歴史から学ぶというが賢者は歴史を忘れないから賢者なのである。世の中には自分が経験したことですらすっかり忘れてしまうものがいる。(酒の飲みすぎで記憶をなくすなんて愚かすぎる。それを繰り返すなんて愚の骨頂である。もはや一周まわって真骨頂である。)

ブログを書くのは覚え書きのためだ。偉人の言葉を自分の言葉にするために書き写す。かつて唐の官僚は四書五経を暗記するために貴重な紙を使って書写した。エリートですらその始末だから凡人なら尚更である。

Twitterにはリツイートという自分の至らなさを教えてくれる便利な機能がある。これで自分の言葉にしてしまおうというのはいささか強引だが備忘録としては役に立つ。しかし湯水のように流れてくる名ツイートばかりでスマホの縦長に入りきる言葉は知れている。仕方ないのでブログに書く。ブログなら書写ほどではないがまだ記憶に残る。まるきり引用ではかっこがつかないから多少なりとも自分の言葉を混ぜる。こうしてブログはできあがる。

こんな言葉もある。「ときには我を忘れるほど酔うことも人間の特権だ」これは二日酔いの朝にすぐ思い出せる。