Tik Tokは魔法の鏡

TikTokが流行っている。その勢いは昔あったVineの比ではないらしい。らしいというのは、私自身は使ったことがないし、まわりにも使っている人を見たことがない。しかし流行っているものはすべて理由があるはずだし、それを理解できないままではいけないと、自分なりに流行っている理由を考えてみた。

TikTokは数十秒の動画を撮影し音楽に載せてアップするもので、特に女子中高生を中心に自撮りや友達を撮って楽しむ人が多い。なかでも音楽に合わせてポーズを決める動画が撮りやすく、誰でも簡単に始められる。再生する人の気持ちを考えなければ私でもすぐ撮れそうだ。

恥ずかしがりやが多いと言われる日本で、なぜこんなにも動画を撮って公開できる人が多いのだろうか。ある世代から急に恥ずかしがりやが少なくなったのか。それとも動画を撮っている人はごく一部の人で多くの人は視聴専門なのだろうか。

そうではない。TikTokの撮影、公開は他のどんなアプリや遊びより圧倒的に面白いのだ。かつ、無料だ。女子中高生は天才的な時間の過ごし方を知っていて、TikTokがその答えであることをわかっている。もともとスマホのカメラで友達や自分の撮影には馴れているし、音楽に載せれば恥ずかしい気持ちは薄れる。無音の状態で視聴者を惹き付ける為には目を見張る何かが必要だが音楽があればそれは必要ない。

更にTikTokは見た人から反応がもらえる。スマホのインカメで顔を写し、「かわいい」「面白い」という反応を返すTikTokはまるでグリム童話の白雪姫に出てくる魔法の鏡だ。しかし彼女らは童話の女王のように「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」という愚かな質問はしない。彼女らは鏡の相対評価に惑わされない。なぜなら鏡がいつも正しい答えを返すものではないと知っているから。